2022.09.11

北海道十勝郡浦幌町での現地調査(小坂田)

2022年9月10日から2022年9月11日にかけて、北海道十勝郡浦幌町において、札幌地方裁判所に係争中のアイヌ民族のサケ漁業確認訴訟に関する現地調査を行いました。

執筆者:小坂田 裕子(中央大学)

 

今回の調査では、9月10日に浦幌町立博物館の企画展「アイヌ民族の現在-ラポロアイヌネイション」を視察し、ラポロアイヌネイションの差間正樹会長にインタビューをさせていただきました。9月10日には、ラポロアイヌネイションによる「アシリチェプノミ(新しい鮭を迎える儀式)」を視察しました。
 浦幌では、いわゆる踊りや歌といった文化伝承が途絶えてしまっていたそうで、差間さんはサケ漁業権(これもアイヌ文化ですが)を求める活動と同時に、学芸員や他の地域のアイヌの助けを受けて、儀礼や踊りなどの文化復興にも務められてきました。今回のアシリチェプノミでも、他地域からアイヌの方が儀礼の指導に来られていました。単に裁判を通じて権利回復を主張されるだけでない(もちろん、それ自体、重い決断ですが)、地道な文化復興の努力に頭が下がる思いがしました。

(写真:ラポロアイヌネイションのアシリチェプノミの会場案内の看板)

 

札幌地裁に係争中の裁判では、私の意見書(「【意見書】 自由権規約に基づくアイヌ民族のサケ漁業権―先住民族の権利に関する自由権規約委員会の実行の発展と同委員会による規約解釈尊重の必要性」『中央ロー・ジャーナル』19巻3号(2022年12月発刊予定))が2022年9月に提出されています。今後、裁判でどのような議論が展開され、いかなる判決が出されるのか、注視し、研究を進めたいと思います。