演題:「シベリア抑留からシベリア民族学史の研究へ」
加藤九祚先生(国立民族学博物館名誉教授)
日時 2015年1月31日(土)13時から14時半
会場 東北大学東北アジア研究センター4階会議室
要旨:私は軍隊に入るまでは、上智大学の学生として哲学にあこがれていた。しかし、工兵の予備士官学校を終了して満州部隊に配属され、敗戦後シベリアへ連行され、そこで約4年8ヶ月(23歳から28歳まで)を過ごした間に、しだいに観念的から具体的なものへ関心がうつるようになり、ロシア語を独学で学び、帰国後シベリアの歴史や民族学の研究を目指すに至った。まず思いついたのが、江戸時代の漂流民や間宮林蔵が残した著作をとりあげ、彼らの観察と他の諸外国人の観察記録を比較検討することであった。この結果が、大阪大学に提出した博士論文『北東アジア民族学史の研究』である。その前後に私は『シベリアの歴史』『シベリアに憑かれた人々』などを書き、何冊かのシベリア関係の本を翻訳した。やがて、大阪の民族学博物館で若い研究者佐々木史郎氏に出会い、シベリア研究を彼にゆずり、自分は中央アジア研究に転じ、今日に至っている。以上みられるように、私の生涯の仕事はシベリア抑留から始まったと言える。
入場無料
会場の都合上、出席希望者は以下に事前にメールで連絡お願いします。
hrk(at)m.tohoku.ac.jp
※(at)を@に変えて送信してください。
なお、この講演会は「日本におけるシベリア地域の研究会設立準備のための学術集会」の公開部分として行われます。 |