2023.02.03

【News】人間文化研究機構グローバル地域研究事業 東ユーラシア研究プロジェクト(EES)2022年度第1回全体集会開催報告

人間文化研究機構グローバル地域研究事業
東ユーラシア研究プロジェクト(EES)2022年度第1回全体集会開催報告

2023年1月21日に、東京私学会館で人間文化研究機構グローバル地域研究事業東ユーラシア研究プロジェクト(EES)2022年度全体集会を開催した。今回の会議は、EES4拠点メンバー初回の全体集会で、人間文化研究機構グローバル地域研究事業東ユーラシア研究プロジェクトの発足に関わり、プロジェクト全体の目的と計画・成果および4拠点を含めた関連メンバーの相互交流のあり方を議論する目的にした。
全体集会は①「基礎講演」②「拠点長パネル」③「各拠点メンバー発表」④「拠点間の交流事業についての意見交換会」四つのプログラムにて実施した。
①「基礎講演」ではプロジェクト代表者、東北大学の高倉浩樹教授が「東ユーラシアの文化衝突とウェルビーイング」というテーマで、プロジェクト代表として、この事業全体の目的と目標について述べるとともに、東ユーラシアという枠組みから展望できる地域研究の可能性について報告した。
②「拠点長パネル」では高倉浩樹(東北大拠点長)、国立民族学博物館島村一平准教授(副代表者・民博拠点長)、神戸大学大学院国際文化学研究科岡田浩樹教授(神戸大拠点長)、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター岩下明裕教授(北大拠点長)からそれぞれの拠点の目的と計画を話してもらい、拠点間協働や交流の方向性等について検討した。
③セッション2「東ユーラシアにおけるウェルビーイングと不確実性」では東北大拠点の小坂田裕子(中央大学法科大学院)教授は「アイヌ施策推進法を巡る議論と「先住民族の権利に関する国連宣言」」、民博拠点の滝澤克彦(長崎大学多文化社会学部)準教授は「宗教とウェルビーイングをめぐる一考察―ベトナム人技能実習生死体遺棄事件の事例から―」、神戸大拠点の小川さやか(立命館大学大学院先端総合学術研究科)教授は「自身の系譜を打ち立てる―アジアとアフリカの間のSNSを介した交易を事例に」、北大拠点郝洪芳 (ミシガン大学日本研究センター・アフィリエイト)研究員は「越境とジェンダー―グローバルな家族と越境する親密性」というテーマにて、地球環境変化や経済のグローバル化(直近ではコロナパンデミックやウクライナ紛争)によって、東ユーラシアの諸社会におけるウェルビーイングの特徴と関連する要因について、ジェンダー、マイノリティ、移民・移住労働、宗教いう4つの視角から検討を行い、個人・社会のウェルビーイングの実現に向けた課題を明らかにした。東北大学大学院文学研究科川口幸大教授と北海道大学公共政策大学院池 炫周 直美教授らがコメンテーターをした。
東ユーラシア研究プロジェクトに関する全体としての方向性について、また各拠点でのテーマや進捗状況などについて把握できた。さらに、各拠点メンバーによる個別の報告から「ウェルビーイング」などの共通課題をめぐる議論を通じてその理解を深めるとともに、各地からの参加者との交流を通じてネットワークを広げることもできた。