当センター飯塚文枝 客員研究員らの国際研究チームは、北米最古の人類遺跡の石器技術を分析し、従来の「ベリンジア滞留説」に代わり、古サハリン・北海道・千島半島(PSHK)を起源とする新仮説を提案しました。
古代ゲノム研究は、約25,000年前に北東アジアで形成された基層集団が約20,000年前以降に南下したと示唆しますが、孤立・ボトルネックの起きた地域の特定は未解明でした。従来はベリンジアが有力視されていましたが、証拠不足が課題でした。
東京都立大学、東北大学などの国際チームは、北米10遺跡の石器群を比較し、石核剝片・石刃技術と両面加工技術(有舌尖頭器)を併用する特徴を確認しました。これらは古サハリン・北海道・千島半島の同時期遺跡と顕著に類似し、狩猟具として優れた楕円断面オージャイヴ投射物(ECOP)デザインの尖頭器も共通していました。この結果、最初のアメリカ人の祖先集団はPSHK半島に起源を持つ可能性が高いと結論づけ、北太平洋沿岸ルートによる移動の合理性も指摘しました。
本研究は、考古学的証拠に基づきPSHK滞留説を提示しました。今後は、古代ゲノム研究と照合し、北太平洋沿岸移動モデルの詳細検証が進められる見込みです。
論文名:Characterizing the American Upper Paleolithic
掲載誌:Science Advances
DOI:https://doi.org/10.1126/sciadv.ady9545