ユニット名
生物多様性と文化の共進化ユニット
期間
2020年度~2022年度(3年間)
組織
氏名 | 所属 |
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千葉 聡 | 東北アジア研究センター教授 |
平野 尚浩 | 東北アジア研究センター助教 |
瀬川 昌久 | 東北アジア研究センター教授 |
佐野 勝宏 | 東北アジア研究センター教授 |
デレーニ・アリーン | 東北アジア研究センター准教授 |
牧 雅之 | 東北大学植物園教授 |
ユニットの目的・目標
東北アジア地域は温帯域では世界で最も高い生物の種多様性を擁する多様性ホットスポットである。同時に、本地域は古くから多様な文化が展開された地域である。地域の生物多様性は、資源、環境を通して、地域の文化に強く影響する一方、資源利用や活発な人物の移動、輸送を伴う文化的交流は、地域の生物多様性に大きな影響を与えると考えられる。だがその実態はこれまでよくわかっていない。そこで本ユニットでは、生物多様性が3-2千年前以降、人間の文化的活動の影響をどのように受けたか、またそれが人間の文化にどう波及するかを明らかにする。
本研究では中国、韓国、日本、ベトナムを対象地域とし、古くから資源として用いられてきた陸域、淡水域、海域の動植物に着目して、3千年前以降の分布、種多様性、遺伝的多様性の変遷と進化過程を推定する。そしてそれが地域の文化にどう反映されてきたか、文化の違いや交流がそれとどう関係してきたかを調べる。具体的には、(1)遺伝的多様性や種多様性の地理的区分と文化要素で地理的に識別される文化区分との間で、分布および要素比較を行うことにより、生物多様性と文化の相互関係を推定する(2)次世代シークエンス技術を用いた遺伝的解析から、過去3千年にわたる生物集団の移動パターンを推定し、歴史的な人の移動や文化的交流が生物多様性に及ぼす効果を解明する。(3)人間の利用によって動植物に生じた進化的変化を推定する。(4)種構成や遺伝的多様性の変化が地域の文化をどのように変えるか解明する。(5)国内での調査と大陸地域とのデータ比較から、日本の生物相の成立に、文化的要素がどのように関わってきたかを解明する。
以上から得られた知見は、日本で古くから文化との相互作用により形成されてきた里山・里海生態系の価値評価や保全に重要である。本研究の成果は、環境省が進める全国の里山・里海の保全事業に貢献できると期待され、社会的な意義も大きい。
中国東北地方の里山と湿地帯
中国から数度にわたり日本に渡来したヒメタニシ。最も最近は約1000年前に輸入物資に紛れて渡来。渡来後、国内でも移住が起きた(矢印は移住ルートを示す)
ユニットが運営する共同研究
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