東北大学 東北アジア研究センター

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中国における失地農民の社会移動に関する調査研究

研究題目

中国における失地農民の社会移動に関する調査研究

研究内容

中国では、1994年に導入された分税制によって、土地使用権払下金、不動産取得税及び開発費用などは地方財政に納入されることになり、地方税収の重要財源となった。その結果、多くの地方政府は積極的に都市開発を推進し始めた。大規模な都市開発によって大量の農地が収用され、大勢の農民が土地を失い、失地農民となった。中国都市発展報告(2011)によれば、中国における失地農民は既に4,000万人以上存在しており、現在も毎年300万人ずつ増加している。2000年から2030年までに失地農民は1.1億人に達すると予測されている。また、中国における失地農民は2億人以上存在するとの主張もある。

失地農民をめぐり、土地収用、補償制度の公平性、失地農民の社会保障、都市への融合(「市民化」)などの新しい問題が生じてきた。そのため、失地農民は土地を失うだけでなく、従来の生活手段も失った。それにもかかわらず、彼らは十分な補償金を得ることができず、農外就労を余儀なくされた。しかし、彼らの学歴は比較的低いケースが多く、定職に就くことが困難である。つまり、失地農民は新都市住民になると同時に、都市社会の弱者層になってしまった。このように、失地農民が新都市住民になった際の生活状況について、多くの研究調査で解明されてきた。しかし、都市開発が失地農民に与える長期的な影響に関する研究はまだ少ない。

そこで、本研究は、中国における都市開発により生じた失地農民に着目し、アンケート調査と半構造化インタビュー調査を通じて、社会移動の視点から、都市開発が彼らに与える長期的な影響を明らかにすることを目的とする。

研究期間

2020年度~2021年度

研究組織

氏名所属
滕 媛媛東北アジア研究センター
日置 史郎東北大学経済学研究科
金 湛愛知大学
原田 忠直日本福祉大学
川村 潤子名古屋大学
顧 江華中師範大学(中国)