東北大学 東北アジア研究センター

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ロシア・ソ連の家族・ジェンダー規範とイスラーム的言説の比較研究

研究題目

ロシア・ソ連の家族・ジェンダー規範とイスラーム的言説の比較研究

研究内容

本研究は、(1)旧ソ連圏ムスリム地域であるヴォルガ・ウラル地域と中央アジアにおいて家族やジェンダーをめぐって語られる規範が包含するイスラーム的な要素を、中東との比較分析により、その連関の様相も含めて解明し、さらに(2)国家レベルで政治的に肯定・強調された家族・ジェンダー規範とそれとの連関の実態を明らかにすることを試みる。

旧ソ連圏を対象とする歴史学や人類学/民族学研究では、家族やジェンダーをめぐる規範の研究、あるいは言説研究は、特にいわゆる民族地域(ソ連解体後の独立国家を含む)を対象とする場合、それほど蓄積のないテーマである。欧米やわが国の研究者による研究は存在しても、現地研究者による仕事が、10~15年前に現れ始めたものの、進んでいるとは言えない状況がある。とはいえ、たとえばロシア帝国史研究では、イスラーム宗務行政機関がムスリムに示した家族道徳規範とウラマー(イスラーム法学者、知識人)が自著で説いたそれとの類似が指摘される。また、ソ連を対象とするジェンダー史研究でソ連政府による男女の性別役割分業の支持が明らかにされたが、それとソ連期のウズベキスタンでイスラーム的な婚姻儀礼を継続していた人びとの男女観には類似点が少なくないのではないかという観察もある。

この研究状況を踏まえ、本研究では、ロシア帝政期~ソ連期のヴォルガ・ウラル地域や中央アジアを専門とする歴史研究者と、ソ連期~現在の中央アジアを専門とする人類学者が、中東を専門とする歴史研究者や人類学者と共同で、上述の研究課題に取り組む。

研究期間

2020年度~2021年度

研究組織

氏名 所属
磯貝 真澄 東北アジア研究センター
帯谷 知 京都大学東南アジア地域研究研究所
佐々木 紳 成蹊大学文学部
宗野 ふもと 筑波大学人文社会系
竹村 和朗 高千穂大学人間科学部
和崎 聖日 中部大学人文学部