研究題目
多角的な手法による地域文化研究:宮城県七ヶ浜町の事例
研究領域
(D) 自然・文化遺産の保全と継承
研究内容
東北アジア研究を発展・深化させるためには、諸分野の専門的知識や手法を結集し、対象地域を多角的に分析する必要がある。このプロジェクトは、宮城県七ヶ浜町を対象に、文化人類学・歴史学(文献資料)・オーラルヒストリー(口承史)・建築学の研究者がそれぞれの学術的見地から地域文化の考察を深めていく。各分野の研究蓄積や課題を複眼的にとらえ、宮城県七ヶ浜町の「地域」「コミュニティ」を明らかにする。また、諸研究の世界観を組み合わせることで、地域住民のアイデンティティや「地元」への愛着をより良く理解し、過去と未来を結びつける社会的意義を有する。宮城県七ヶ浜町における地域文化の研究は、1967年(昭和42)に刊行された『七ヶ浜町誌』で紹介されているが、それから60年近くを経過するなかでコミュニティや産業構造の変化、さらに2011年(平成23)の東日本大震災などを経験し、住民や当地に関係する人びとの動きも大きい。近年、研究代表者のデレーニ・アリーンによって人類学的手法を活用しつつ、多分野の研究者とも連携した新たな調査成果も生まれている。ただし、地元では先人たちから伝わる知識を将来へ継承したいという希望があり、私たち研究者によって地域文化の特質を考察し、さまざまな成果を地域および学界と共有する作業を進めていく。文献資料については『七ヶ浜町誌』の成果を吸収しながら18世紀から20世紀前半の地域史を通観する。オーラルヒストリーでは、震災前後の景観の変化が人々にどう認識され、それが震災前の記憶とどう関連しているのかを聞き取ることで「場所」の記憶とコミュニティの関連を考える。今回のプロジェクトは日本列島に限らず、東北アジア地域におけるひとつの研究モデルを提示する意味を有している。
研究期間
2024年度~2026年度
研究組織
氏名 | 所属 |
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デレーニ・アリーン | 東北アジア研究センター |
荒武 賢一朗 | 東北アジア研究センター |
石井 弓 | 東北アジア研究センター |
マリ・エリザベス | 災害科学国際研究所 |