東北大学 東北アジア研究センター

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歴史資料からみた地域社会の形成:福島県須賀川市の事例

研究題目

歴史資料からみた地域社会の形成:福島県須賀川市の事例

研究領域

(D) 自然・文化遺産の保全と継承

研究内容

 東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門は、2019年度より須賀川市立博物館(福島県)と共同で市内の歴史資料保全活動を継続中である。また2022・2023年度には、東北アジア研究センター共同研究「歴史資料学の実践:福島県須賀川市の地域史研究」を組織し、東北大学の教員と須賀川市の学芸員が連携し、新たな歴史資料の発見と保存、そして研究活用に向けた準備を進めることができた。これらの取り組みにより、歴史資料12件(総数約1万点)の保全を行い、その一部は東北アジア研究センター叢書の出版や、須賀川市立博物館の展示・歴史講座において成果を公表している。ただし、専門分野における研究発信は今後の課題で、本共同研究では古代から近現代までを通観した地域社会の形成過程を政治・経済・文化・美術・宗教といったさまざまな事例によって、須賀川市域の特質を明らかにしたい。
 現在の須賀川市域は、古代の石背国(いわせのくに)成立期から、東西には太平洋岸より会津および越後国へ連なり、南北には関東と東北を結ぶ街道の結節点であった。中世城下町を経て、近世には須賀川宿という宿場町を形成し、物流の一大拠点として繁栄する。そこには遠隔地を含めた人的交流が存在し、商品流通のみならず活発な文化交流も認められた。これまでの研究蓄積によれば、近世の須賀川は自治都市という特徴を持ち、領主から行政を委任された地元の郷士(ごうし)たちによる運営で、食糧難に喘ぐ窮民救済や、低所得世帯を対象にした赤子養育仕法(子育て支援)を開始するなど、社会的支援を積極的に展開したことでも知られる。
 このような地域社会について、長期の歴史を論じ、特徴的な行政機構・財政システム・祭礼・宗教のありようを歴史資料によって解明する。

研究期間

2024年度~2026年度

研究組織

氏名所属
竹原 万雄東北アジア研究センター
荒武 賢一朗東北アジア研究センター
酒井 一輔経済学研究科
野本 禎司開智国際大学教育学部
管野 和恵須賀川市立博物館
渡辺 哲也須賀川市立博物館
管野 和博須賀川市役所文化交流部文化振興課
宮澤 里奈須賀川市役所文化交流部文化振興課
顧 婕文学研究科