東北大学 東北アジア研究センター

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東北アジアにおける経済回廊構想と辺境住民:国境貿易に注目した人類学的研究

研究題目

東北アジアにおける経済回廊構想と辺境住民:国境貿易に注目した人類学的研究

研究領域

(C) 移民・物流・文化交流の動態

研究内容

 本研究は、中蒙・露蒙国境地域における辺境住民による商業活動に着目し、彼らがいかに周辺社会と経済的共生関係を構築してきのたかに関する人類学的研究である。この調査を通じて、中国とロシアという大国の辺境に暮らすマイノリティがつくり出してきたグローバリズムの一端を明らかにする。
 中国やロシア領内のマイノリティのモンゴル系・テュルク系牧畜民は歴史上、農耕社会と共生関係を構築してきた。今日でも、かれらはそれぞれの国でのマジョリティたちとの交流・衝突・融合を内包しながら共生している。こうした越境的な人・モノの移動に関しては、歴史学的、または地政学的な研究が蓄積しているが(e.g. 岡洋樹(編)『移動と共生の東北アジア:中蒙露朝辺境にて』東北アジア研究センター叢書第67号、Tagliacozzo, Eric et.al(eds.)2015. Asia Inside Out: Connected Places. Harvard University Press)、本研究はよりミクロな視座から中蒙・露蒙の国境地域の住民交易に注目し、基層社会の人びとの共生の様相を、人類学的手法を用いて探究する。とくに今日、一帯一路構想、中蒙露経済回廊をはじめとする経済・政治戦略を通じて中国とロシアは世界システムに大きいなインパクトを与える存在になっている。両国の辺境に暮らすマイノリティとしてのモンゴル系・テュルク系の人びとの生活やモラル・エコノミーを明らかにするためには、大国の政策のいかなる影響下にあったのかという通時的な視点が必要である。
 対象とするのは、中国内モンゴル自治区の国境貿易都市エレンホトと、近年トゥヴァ共和国とのあいだで交流が盛んになっているモンゴル国オブス県ウランゴムの市場である。具体的には、第二次世界大戦後、シルクロードの現代的解釈として登場したアジアハイウェイから始まる経済回廊の諸ビジョンと、それを受けた各地域の市場の展開の実態に関する文献調査を実施する。そしてその結果をふまえて同時代の辺境貿易を分析し、東北アジアにおけるグローバリズムの今日的展開のなかに定位する。

研究期間

2024年度~2024年度

研究組織

氏名所属
寺尾 萌東北アジア研究センター
包 双月文学研究科
Peemot,Victoria 東北アジア研究センター<