東北大学 東北アジア研究センター

お問合せ
日本語 English

琉球列島における先史時代のヒトと文化の越境

研究題目

琉球列島における先史時代のヒトと文化の越境

研究領域

(C) 移民・物流・文化交流の動態

研究内容

 我々は、新領域創成のための挑戦研究デュオ(Frontier Research in Duo: FRiD)の研究プロジェクトにおいて、小さな島での持続可能な生存戦略に関する考古学、地球化学、分子生態学からなる学際的融合研究を行ってきた。この調査研究により、大陸や九州本土との地理的境界を越えたヒトの移動や文化的交流の実態が垣間見えてきた。本共同研究は、FRiDプロジェクトを発展的に継続し、東北アジア、琉球列島、本州・九州間での先史時代におけるヒトと文化の越境の様相を詳細に把握する事を目的とする。
 徳之島のコウモリイョー遺跡の調査研究により、4500年前の縄文時代中期頃、琉球列島の中程に位置する徳之島は、沖縄からも九州からも文化的影響を受けていたことがわかり、文化的交流の場として機能していた可能性がでてきた。更に、これまで文化的空白期間と考えられてきた縄文時代初頭の約15,000年前頃に、九州あるいは本州の縄文土器文化の影響が既に徳之島にまで及んでいた事がわかってきた。本共同研究は、土器の型式学的分析や胎土分析、人骨のDNA分析により、これらの文化的交流がヒトの移住を伴うものであったのかどうかを解明する。また、遺跡から出土した海棲貝化石の酸素・炭素同位体分析により、当時の古気候を復元し、これらの文化的交流の契機や隆盛に、気候変動が関与した可能性についても考察する。更に、動植物のDNA分析により、現生動植物にヒトの越境移動が歴史的に関与してきた可能性についても考察する。

研究期間

2024年度~2026年度

研究組織

氏名所属
佐野 勝宏東北アジア研究センター
井龍 康文 東北大学大学院理学研究科
陶山 佳久 東北大学大学院農学研究科