東北大学 東北アジア研究センター

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ウクライナ侵攻後のロシアからの大量出国とモンゴルにおける民族間関係

研究題目

ウクライナ侵攻後のロシアからの大量出国とモンゴルにおける民族間関係

研究領域

(E) 紛争と共生をめぐる歴史と政治

研究内容

 本研究の目的は、2022年2月以降のロシアのウクライナ侵攻後のモンゴルへのロシア国民の大量出国と、これに対応するモンゴル国やモンゴル社会の対応に関する基本情報を収集し、インターネットやマスコミ情報の分析、モンゴル国における社会調査や民族誌調査を行うことで、大量出国がもたらす東北アジアの民族間関係の影響を評価することである。
 避難者にはロシア系民族だけでなく、歴史的言語的にモンゴル人と関連するブリヤート人、トゥヴァ人、サハ人(ヤクート人)などの少数民族も含まれる。私たちは、これらシベリアの少数民族を含むロシア国民の国境を越えた移住の社会過程を調査し、彼等がこの国家をどう認識しているのか及び侵攻以前の状況も遡及的に分析することを通して、相互の民族間関係への影響について評価する。大量出国には避難した当事者だけでなく支援者や関係団体など多くの関係者が関与するが、この社会現象は民族や国家に対する個人の認識や解釈にも影響を与えるはずである。
 ロシアによるウクライナ侵攻は21世紀の現時点における最大の軍事的事象であり、学術のみならず社会的にも大きな関心を呼んでいる。多くの社会科学者は戦争の国際社会への影響に焦点を当てているのに対し、本研究は人類学・歴史学を中心とする地域研究の視点から、侵攻に関わり、戦争への協力を拒むロシアからの避難者とこれを受け入れるモンゴルの人々という社会過程に焦点を当てることに特徴がある。またロシア国民といってもシベリア少数民族に主要な関心を持つ点が独自である。この南シベリアとモンゴルの国境は歴史的にも複雑な過程をたどっており、そうした歴史的要素のもつ意味についても考えたい。

研究期間

2023年度~2025年度

研究組織

氏名所属
高倉 浩樹東北アジア研究センター
堀内 香里日本学術振興会・特別研究員(PD)
Dalaibuyan ByambajavUniversity of Queensland