東北大学 東北アジア研究センター

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清代モンゴル社会における自生的秩序生成に関する研究

研究題目

清代モンゴル社会における自生的秩序生成に関する研究

研究領域

(E) 紛争と共生をめぐる歴史と政治

研究内容

 清朝統治下のモンゴルは、外藩と呼ばれ、内地直省とは異なる統治機構を有した。外藩は、モンゴル王公の統治の下で、遊牧生産を基盤とする伝統的な統治・社会秩序が受け継がれるとともに、清朝統治により生成した諸条件のもとでそれが変容しつつ、清代的秩序が生成・展開する場となった。清朝のモンゴル支配が安定したものだったこと自体、この秩序が機能していたことを示す。清朝期モンゴルの歴史的研究は、我が国では法制史的研究が先行していたが、近年の文書史料を用いた研究により、社会を律した秩序の具体的様態の解明が始められている。中国でも制度史的研究が主体であったが、やはり同国所蔵の文書史料の整理・公開・刊行が進むにつれて、モンゴル遊牧民・農耕民の基層社会の研究が始まっている。モンゴル国では、逆に社会主義期に文書史料に基づく社会構造論的研究が蓄積されたが、唯物史観の理論的要請に従属しがちで、社会の実相を正面から見据えようとする研究は、やはり近年の動向に属する。そこで本共同研究では、このような動向を踏まえて、日・蒙・中の国際的共同研究により、モンゴル社会における清代的秩序の具体的な様態や、その変容、脆弱性、矛盾を多面的に解明する。その際、モンゴル人だけでなく、他のエスニシティーをも視野に入れ、清朝の統治が生み出した社会的変容の相をもモンゴル社会の自生的/自制的秩序構築の一環と位置づけることで、現場の全体性を確保した清代モンゴル社会の内在的解明を目指す。

研究期間

2023年度~2024年度

研究組織

氏名所属
岡 洋樹東北アジア研究センター
中村 篤志山形大学人文社会科学部
オチル・オユンジャルガルモンゴル国立大学
佐藤 憲行復旦大学
フフムチル内蒙古大学
ブレンソド内蒙古師範大学
堀内 香里日本学術振興会・特別研究員(PD)