研究題目
近世東北アジアの交流と情報
研究領域
(D) 自然・文化遺産の保全と継承
研究内容
東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門は、第3期(2022~2026年度)計画として「東北アジアの歴史資料学研究」を推進している。これは、東北地方を中心とした日本列島の歴史資料分析をふまえ、近隣諸国を含む東北アジア地域研究への積極的展開を目指すものである。
本課題では、17世紀から19世紀における日本・琉球・朝鮮・中国を対象に、それぞれの歴史資料を概観したうえで、国家間外交から民間人を含む人的交流までの諸階層に区分しながら、近世期の情報伝達および各国の管理システムについて詳しく考察を深めたい。この時期の特質は、中国における王朝交代や西洋諸国の進出があるなか、制限的な国交および貿易体制のもと、相互に近隣諸国の情報収集に力を入れていたことにあろう。その一方、他国に対して「隠したい」案件も数多くあり、国家機密から生活文化までお互いの「探り合い」が顕著になった。
具体的な課題は次の3点である。①各国の外交および情報収集に関する歴史資料を博捜し、その文書保存形態から当時の官僚制や、為政者および担当官の役割などを考察する。②各国が接点を持つ外交交渉の現場について、可能な限りの復元を目指し、専門官僚の有無や直接交渉の実態を明らかにする。③東北アジア地域で発生する政変や大事件の情報伝達がどのような形で実施されたのか、その管理や真偽の確認などを含めつつ、いくつかの特定の事件を取り上げて伝達経路を解き明かす。
上記の作業を研究組織内で分担をしながら、近世東北アジアの空間的分析を総合化することが最終目標となる。また、モンゴルやロシア極東地域を専門とする歴史研究者に助言を求めつつ、広域性を高める共同研究へ昇華させたい。
研究期間
2023年度~2025年度
研究組織
氏名 | 所属 |
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荒武 賢一朗 | 東北アジア研究センター |
程 永超 | 東北アジア研究センター |
麻生 伸一 | 琉球大学人文社会学部 |