東北大学 東北アジア研究センター

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地域間交流と農業の持続可能性に関する文化人類学的研究—東北地方のホップ農家を事例 に

研究題目

地域間交流と農業の持続可能性に関する文化人類学的研究—東北地方のホップ農家を事例 に

研究内容

 本研究では、日本の減反政策を機に転換作物として栽培が始まったホップを例 に、栽培が盛んな地域間の交流や観光交流を基にした農業技術継承を検討するこ とを通じて、農業の持続可能性を文化人類学的に探究する。
 高度経済成長と減反政策以降、日本の農業は兼業化と従事者人口の減少が進ん だ。地域農政として集落機能に依拠した地域農業集団の育成が図られるも、国際 競争と輸入作物の拡大を受けて、消費者重視の需要対応型農業化や6次産業化が 進められてきた。本研究で対象とする岩手県遠野市及び秋田県横手市ではキリン 社の全量買い上げによるホップ栽培が50年以上行われ国産原料によるビール生 産に繋がったが、農家の高齢化と離農により栽培量の減少が続く。このような状 況を受けて、東北大産学連携機構では地域連携事業「横手市における持続可能な ホップ生産モデル構築支援」を農学・工学的研究を中心に展開する。そのメンバ ーである申請者は「横手市におけるホップ農家を中心とした農業の持続可能性に 関する文化人類学的研究」として農家の生活誌調査を行なってきた。二地域は国 内生産量1 位の座を巡り地域間競争が起こっているが、双方のホップ生産組合の 連携がコロナ禍前まであったこと、そして遠野市では近年小規模醸造所を目指す 移住者・新規就農者が少ないながらも増加し、ビアツアーによる観光産業化が進 展していることが分かった。そこで本研究では、二地域における地理的・政策的 な条件の差異を考慮した上で、1)これまでの地域間の組合による栽培技術連携の 様相と互いへの影響、2)特に遠野における新規就農者の定着に係る諸条件として 後継者育成以外に、小規模醸造所や飲食店の経営、観光との接続、移住者ネット ワークの様相を観光人類学的観点から明らかにすることで、地域間の共創的かつ 持続可能な農業の発展に繋げることを目的とする。

研究期間

2022年度~2023年度

研究組織

氏名所属
越智 郁乃東北大学大学院文学研究科
高倉 浩樹 東北アジア研究センター
包 双月東北大学大学院文学研究科
川口 幸大東北大学大学院文学研究科
霍 禹衡東北大学大学院文学研究科
佐藤 颯人 東北大学文学部