東北大学 東北アジア研究センター

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新旧の地質試料(変成岩コレクション)の情報量の幅についての予察的研究

研究題目

新旧の地質試料(変成岩コレクション)の情報量の幅についての予察的研究

研究内容

 近年、先人が収集・解析し、重要な研究成果を挙げた岩石試料など、価値の高い古典研究 標本の持続可能な保管と管理・キュレーションが深刻な問題として顕在化しつつある。学 術コミュニティにとっても重要な案件であるが、現時点で研究試料のアーカイブ化は個人 あるいは研究機関の部局レベルに委ねられている。我々のチームでは古典研究地域の過去 優良コレクションを最大限活かして世界標準を作ることが、理想的なアーカイブ化の方向 性だと考え、NPO 法人地球年代学ネットワーク地球史研究所の協力のもと、既存のデータ に新しいデータを加えて標本の可能性を評価する試みを実施してきた。とりわけ、標本と 紙資料など地質研究資産の持続・発展可能なキュレーション体制の構築のために必要なミ ニマムプロトコルを検討してきた。
 本研究ではこれまでの地質標本アーカイブ化に関連した研究をさらに発展させるために 新たな検討を行う。まず、既にアーカイブ化が完了した地質試料(変成岩)の産地におい て、新しく露頭記載と試料採取を行う。また、>20〜30 年の時間経過による変成岩の露頭 状況の違いを記録する。そして、過去に採取された標本コレクションと、新たに採取され たコレクションの違いを定量的に評価する。一般に湿潤な気候の日本においては、>20〜 30 年の時間経過による岩石や地層の露頭の状況は風化、浸食・崩壊・埋没、植生被覆など によって大きく変化しうる。さらに露頭の記載情報も写真技術の電子化前後で情報量が大 きく異なる場合が多い。本研究ではいくつかの重要な露頭及びルートから採取されたコレ クションのばらつきに着目し、新旧のコレクション間の標本のもつ情報量の幅や相違を定 量的に評価する。自然史遺産の永続的な保護と保全、そして古典研究標本を用いたリファ レンス作りに関した総合研究を行う。

研究期間

2022年度~2022年度

研究組織

氏名所属
辻森 樹東北アジア研究センター
金子 瞬東北大学大学院理学研究科
小橋 知佳東北大学大学院理学研究科
志関 弘平東北大学大学院理学研究科
板谷 徹丸NPO 法人地球年代学ネッ トワーク
乙藤 洋一地球史研究所