東北大学 東北アジア研究センター

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古代日本における東アジア文化の伝播と受容

研究題目

古代日本における東アジア文化の伝播と受容

研究内容

 古代中国の多様な文化は日本をはじめとする東アジア周辺地域に大きな影響を 与えた。周辺諸国ではその先進的な文化や政治制度などを吸収し在来の社会と融 合させようとする動きが生まれ、日本も例外ではなかった。律令国家が誕生した 日本では中国の文物が珍重され、それらの模倣品も流通するようになった。本研 究で対象とする緑釉陶器は、高級品とされた中国産陶磁器を模倣した国産施釉陶 器であり、製作技術も中国や朝鮮半島に由来する。都以外に地方支配の拠点でも 多く見つかっており、饗宴や儀式に用いられたとされる。緑釉陶器の流通には中 国風の饗宴や儀式の浸透が反映されていると言うことができる。
 本研究では緑釉陶器をはじめとした古代の国産施釉陶器および中国産陶磁器を 研究対象とし、古代国家の周縁支配の様相に迫る。律令国家による国家形成の流 れの中で、東北地方には陸奥国府として多賀城が置かれた。周辺には関連施設群 が展開し、文化・軍事・政治の中心を担った。都で嗜好された陶磁器類が見つかっ ており、地方においても中央と同様に権力の表象や奢侈品としての役割を果たし ていたと考えられる。
 そこで生産内容と消費地における受容の様相を比較し、消費地への製品流入の 実態を検討する。幾何学的形態測定学により、生産地における形状の時期差の把 握、及び消費地資料との比較を行う。主要な生産地である京都地域と東海地域の 製品と多賀城出土の資料について、その形状の類似性を定量的・視覚的に捉え、 製品流入の実態解明を目指す。さらに中国文化の伝播は律令国家の支配域の外に も及んでおり、対象資料の流通を明らかにすることは、古代国家の周縁地域にお ける中国嗜好の形成理解にも繋がると考えている。

研究期間

2022年度~2022年度

研究組織

氏名所属
佐野 勝宏東北アジア研究センター
谷津 愛奈 東北大学大学院文学研究科