東北大学 東北アジア研究センター

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ホモ・サピエンスの東北アジアへの拡散と文化的適応プロセス

研究題目

ホモ・サピエンスの東北アジアへの拡散と文化的適応プロセス

研究内容

 本研究は、ホモ・サピエンスによる東北アジアへの拡散と、地域環境への適応プロセス の復元を目的とする。そこで申請者らは、ホモ・サピエンスの拡散に伴って東北アジア各 地に出現した考古文化である、IUP(Initial Upper Palaeolithic)石器群とEUP(Early Upper Palaeolithic)石器群の比較分析を行う。
 IUP 石器群とEUP 石器群は、ともに石刃(規格的で縦に長い剥片)石器群を組成するこ とが特徴であるが、その内容は大きく異なっている。鋭い刃部を有する石刃は、狩猟採集 民の生業基盤となる道具(狩猟具や加工具)の素材として用いられていた。そのため石刃 の製作方法や機能は、石材や衣食住に関わる各種資源の分布状況の影響を受け変化したと 考えられる。したがって、IUP とEUP 双方の石刃石器群に内在する相違点の検討から、人 類による地域環境への適応プロセスの一端を復元できる。
 本研究では上記の仮説を基に、両石器群における石刃製作方法の復元(①)と石刃製石 器(道具)の機能復元(②)、及びそれらの比較(③)という三つの目標を達成することで、 研究目的を遂行する。
 初年度は日本列島の関東地方や東北地方におけるEUP 石器群の調査・分析を中心に進め る。石刃の製作工程を示す考古資料(接合資料)の3D データから、石刃製作に伴う石材の 消費過程と製作された石刃形態の関係を分析する(①)。石刃の機能は形態との一定の相関 が想定されるが、具体的な使用方法を使用痕分析によって解明する(②)。
 次年度は、ロシア、モンゴル、中国におけるIUP 石器群の調査・分析を行い、同様に目 標①と②を検討する。最後にそれまでの分析結果を踏まえ、両石器群を比較(③)するこ とで、東北アジアにおけるホモ・サピエンスの拡散と適応プロセスについて考察する。

研究期間

2022年度~2023年度

研究組織

氏名所属
佐野 勝宏東北アジア研究センター
戸塚 瞬翼 東北大学大学院文学研究科
金 彦中 東北大学大学院文学研究科

共同研究報告書

2022年度

2023年度