東北大学 東北アジア研究センター

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仙台藩における支配機構と政策決定の総合的研究

研究題目

仙台藩における支配機構と政策決定の総合的研究

研究内容

 東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門では、これまで仙台藩家臣の歴史資料 の保全活動を進め、2021 年度には、「東北アジア研究センター叢書」にて奉行職(家老)を 代々務めた大條家文書の調査成果を刊行し、「地域研究デジタルアーカイブ」にて北家文書 の画像公開を行った。現在も仙台藩家臣文書の調査を実施しており、これらの調査成果に 各地の資料保存公開施設に所在する歴史資料をあわせることで、詳細な政治状況を詳しく 研究することが可能になりつつある。
 そこで本共同研究では、仙台藩の中核を構成する家臣(藩役人)の文書分析から、支配 機構のあり方と政策決定過程を具体的に検討し、その官僚的組織の実態解明に取り組みた い。近世日本は、中央政権である江戸幕府と、その統治下にありながら自立した大名家が 領国を支配する政治体制であり、東北地方にあって最大規模の大名として江戸幕府に大き な影響を与え続けた仙台藩の官僚的組織を明らかにすることは、日本近世史研究の進展に おいて重要な意味を有している。
 また、各大名家の支配機構は、合議により政策決定する官僚的組織によって行われてい たことが明らかにされてきているが、その形成過程や特徴は後年に編纂された歴史書など から検討されていることが多く、この点は仙台藩についても同様で、その官僚組織に関す る実証的研究は皆無に近いとも指摘されている。したがって、本研究では上廣歴史資料学 研究部門の調査により活用が可能となった仙台藩家臣文書を、共同研究メンバーが積極的 に分析するとともに、成果の公開も促進していきたい。そのうえで研究課題に対して、そ れぞれの専攻分野(政治史、経済史、都市史、林政史、文書管理史、災害史)を活かして、 多様な政策内容および組織の各レベルから総合的かつ立体的に仙台藩の政策決定過程を明 らかにしていきたい。
*参考:東北アジア研究センター叢書70 号『仙台藩奉行大條家文書―家・知行地・職務―』http://hdl.handle.net/10097/00134280
    東北アジア研究センター地域研究デジタルアーカイブ「北家文書」https://archives.cneas.tohoku.ac.jp/collection/kitake

研究期間

2022年度~2022年度

研究組織

氏名所属
荒武 賢一朗東北アジア研究センター
野本 禎司開智国際大学教育学部
松本 剣志郎法政大学文学部
萱場 真仁徳川林政史研究所
吉川 紗里矢税務大学校租税資料室
大銧地 駿佑中央大学大学院文学研究科

共同研究報告書

2022年度

2023年度