研究題目
東北アジア地域における陸産貝類の適応放散プロセスの解明
研究内容
適応放散は種多様性を生み出す重要な要因である。これまで様々な地域で適応放散したと
される分類群が確認され、その生息環境の多様性と爆発的な種分化の過程が推定されてい
る。しかし、多くの研究では適応放散した系統のみを扱っており、なぜその系統が適応放
散したのかは未解明な部分が多い。そのため、適応放散した系統とそうでない系統を広範
に比較することが重要となる。
陸産貝類は能動的な移動能力に乏しいことから、各地で種分化し固有種が生息している。
東北アジア地域、特に日本は世界各国の中でも上位5位以内に入るとされるほどの陸産貝
類の種多様性が豊かなホットスポットとして知られる。これは、南北に細長い列島や、高
山帯から平野部、火山島などの地形の効果が極めて大きいと考えられる。特に、ナンバン
マイマイ科オオベソマイマイ属における種多様化は著しく、様々な生息環境を利用するこ
とから適応放散が生じたグループと考えられる。しかし、個々の系統の研究はあるものの、
その包括的な系統関係は未解明である。
そこで、本研究ではナンバンマイマイ科の大規模な分子系統解析を行い、各種・各グルー
プの系統的位置と分岐のパターン、種分化の歴史を推定する。サンガー法に基づく遺伝解
析の他、近年発展著しい次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝解析を行い、適応放散す
る系統としない系統を比較し、特に時間経過の効果と系統的制約に着目して適応放散のプ
ロセス解明を目指す。このように、多様化のプロセスを知ることは地域固有の生態系や生
物多様性の保全に繋がり、重要な知見を提供する。
研究期間
2022年度~2022年度
研究組織
氏名 | 所属 |
---|---|
平野 尚浩 | 東北アジア研究センター |
伊藤 舜 | 東北アジア研究センター |