研究題目
歴史資料学の実践 ―福島県須賀川市における地域史研究―
研究内容
東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門は、2019 年度より須賀川市立博物館
(福島県)と共同で歴史資料保全活動を実施している。この基礎調査(資料の保存・写真
撮影・文書目録作成)の成果は、博物館のテーマ展や市民講座、そして文書目録のウェブ
掲載などで公開を進めたが、いずれも個別の文書群を紹介する目的であり、須賀川市域お
よび周辺の包括的な歴史分析には至っていない。そこで、センター教員のみならず、須賀
川市の学芸員や外部の専門家も加わり、13 世紀から20 世紀に至る長期の地域史研究を推
進し、歴史資料学(既存の歴史学に、資料保全や文化的資源の活用を加えた学問領域)の
確立に向けた取り組みを進めたい。
須賀川市立博物館の文化財・遺跡調査によって、当地は古代から東北地方南部の要衝と
して繁栄し、近世には奥州街道の宿場町、明治維新以降は諸産業の発展が明らかになって
いる。これまでの学術的検証は、歴史・考古・民俗を集約して『須賀川市史』(全8 巻)・
『長沼町史』(全5 巻)・『岩瀬村史』(全4 巻)で公表された。ただし、1970 年代前半の研
究段階を示すものが大半を占め、以降に蓄積された膨大な資料情報をふまえていない。本
共同研究では、その課題を克服し、とくに都市・村落という特質にこだわりつつ、新しい
地域史の展開を促進する。
中世・近世・近代の時期に分け、遺跡や古文書の特質を解明することが第一の目的であ
る。対象となる地域は、都市と村落が固有の特色を持ち、双方が密接に関係を構築しなが
ら社会運営をしてきたことが推測される。そのため、研究の初期段階では時代ごとの歴史
的事実の把握に注力し、都市と村落の総合化を最終目標とする。
*参考:上廣歴史資料学研究部門ホームページ https://uehiro-tohoku.net/
研究期間
2022年度~2023年度
研究組織
氏名 | 所属 |
---|---|
荒武 賢一朗 | 東北アジア研究センター |
竹原 万雄 | 東北アジア研究センター |
根本 みなみ | 東北アジア研究センター |
酒井 一輔 | 東北大学大学院経済学研究科 |
野本 禎司 | 開智国際大学教育学部 |
伴野 文亮 | 鹿児島大学法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センター |
管野 和博 | 須賀川市役所 |
宮澤 里奈 | 須賀川市役所 |
管野 和恵 | 須賀川市立博物館 |
渡辺 哲也 | 須賀川市立博物館 |