研究題目
モンゴルのジェンダー規範とその変容:特に18世紀から現代まで
研究内容
本研究はモンゴル社会においてジェンダー規範がどのように変容してきたのかを解明することを目指すものであり、特に、その考察に十分な資料のある18世紀以降を対象にする。
ある社会を理解するのにジェンダーの視座を以てすることが有用であることは夙に言われてきたことであり論を俟つまい。特に近代以降の社会を対象とするジェンダー研究は相当の蓄積がある。 モンゴルについても前世紀中期以降に関するジェンダー研究は益々活発となっている。しかしながら一方で、20世紀前半以前に関わるジェンダー史研究は殆ど行われていない。 このことは、歴史研究としてその時代の社会を理解するのに偏りを生むだけでなく、今日のモンゴルのジェンダー秩序・規範を考察するのにも不利益である。
本研究では、堀内が清代からボクト政権期を対象に家内やコミュニティー内における各ジェンダーの役割を考察し、メンデサイハンは1920-30年代の粛清期におけるモンゴル人女性の国や社会 への関わり方を明らかにする。いずれも豊富な公文書を使い歴史学的アプローチを試みる。また、ツェレンハンドは民主化直前のモンゴル人民共和国の地方社会において男女がそれぞれどのように 地域社会に参加し関わっていたのかを聞き取りや地方の役所に保管されている資料を使って文化人類学の手法を用いて考察する。ゾロザヤは現代モンゴル人がどのような書籍をどのような目的で購 入したり読んだりしているのかを社会学的方法で調査し、そこから現代モンゴルの教育におけるジェンダー差異やその規範を探る。
モンゴルのジェンダー規範や秩序の変容についてはこれまで腰を据えた研究は行われておらず、その点において本研究は先駆的な研究である。同時に、それゆえに変容の全体像をたった1年で解明 することは実際上困難だと予想される。とはいえ、本テーマに関わる課題を明確にし次のステップに繋げることは十分に見込める。
研究期間
2021年度~2021年度
研究組織
氏名 | 所属 |
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堀内 香里 | 東北アジア研究センター |
ゲレグ・ツェレンハンド | モンゴル国立科学アカデミー歴史研究所 |
ハタンバタ・メンデサイハン | チンギス・ハーン遺産文化研究所 |
ムンフツェレン・ゾロザヤ | モンゴル国立科学アカデミー哲学研究所 |