東北大学 東北アジア研究センター

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ロシア・ムスリム地域における聖者崇敬・聖地参詣の社会史的研究

研究題目

ロシア・ムスリム地域における聖者崇敬・聖地参詣の社会史的研究

研究内容

 本研究は、ロシアのムスリム社会におけるイスラーム信仰の様相を明らかにすることをめざし、イスラーム聖者とその墓廟をめぐる信仰実践の様相を解明するものである。中心的研究対象は、ロシア連邦バシコルトスタン共和国ウファ市近郊、チシムィ地区にあるフセイン・ベク廟とアクズィラト墓地である。

 中央アジアのムスリム定住社会を研究対象とする人文学研究では、スーフィー(イスラーム神秘家)等のイスラーム聖者やその墓廟をめぐる信仰の研究蓄積が極めて厚く、事実、民衆のイスラーム信仰においてスーフィズム(イスラーム神秘主義)的要素は重要な位置を占める。しかし、そうした中央アジア文化と密接な結びつきがあるロシアのムスリム集住地域、特にヴォルガ・ウラル地域のイスラーム聖者崇敬、聖地参詣は、国際学界で知られる事象であるにもかかわらず、研究が進んでいない。その一つであるフセイン・ベク廟とアクズィラト墓地は、国際学界で俎上に載せられないうちに、観光地として整備が進む可能性も高い。

 このため本研究は、フセイン・ベク廟とアクズィラト墓地の墓石や墓碑銘、それらをめぐる聖者崇拝や聖地参詣の様相を歴史文献学的手法で研究するとともに、写真撮影で収集した墓碑銘等の資料をインターネット上で適切なかたちで公開し、研究資料の共有と文化遺産の保全も実現するものである。研究成果はオープンアクセスの学術論文として公刊し、写真資料は墓石・墓碑銘の分析結果であるメタデータとあわせてデジタルアーカイブで公開する。すなわち本研究は、従来からの確実な研究手法で成果を得ようとするだけでなく、新しい媒体ミックス的な成果公開手法を試みることで、人文学研究による国際的な社会連携をも探るものである。 

研究期間

2021年度~2022年度

研究組織

氏名所属
磯貝 真澄 千葉大学大学院人文科学研究院
高倉 浩樹 東北アジア研究センター
程 永超 東北アジア研究センター
田村 光平 東北大学学際科学フロンティア研究所/東北アジア研究センター
今松 泰 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
矢島 洋一 奈良女子大学人文科学系
ファルフシャートフ、マルスィル・N ロシア科学アカデミー・ウファ連邦研究センター歴史言語文学研究所
アックベコフ、ラシト・Iu ロシア科学アカデミー・ウファ連邦研究センター歴史言語文学研究所
ルスラノフ、エヴゲーニイ・V ロシア連邦バシコルトスタン共和国文化遺産保護局