研究題目
都市で生じる生物進化:陸産貝類の例
研究内容
なぜ多種多様な生物が存在するのだろうか?Darwin (1859)以来の進化生態学最大の謎:種多様性を生み出すプロセスの解明は、今なお多くの研究者を惹きつけてやまない研究テーマである。例えば、ガラパゴス諸島などの海洋島では表現型多様化・生態的分化の研究が進んでいる。しかし進化の実験場は島や湖のみならず、実は里山から都市に至る人間活動の影響を強く受けた身近な環境にもあてはまるのではないか?実際に近年、特に新たな環境への進出やそれに伴って生じる生物間相互作用に着目し、遺伝的多様化・表現型多様化のメカニズムについて知ることが、進化生態学の中でもトピックとなりつつある。そこで、ここでは種内レベルの小進化的変化に着目し、人間活動が生物進化にどのように介入し駆動してきたのかを解明したい。これを明らかにする上で、自然を残しつつ古くから開発が進んだ平野部のある日本は良い実験場となる。能動的移動分散能力に乏しい陸産貝類を例とし、神社林や公園などに生息する種を用いて、人為的影響により分断された集団や、外来種を初期進化のモデルとし、集団形成・局所適応・形態進化などの比較研究を行う。例えば、種分化の初期プロセスとして集団間における生態的分化に着目する。種内レベルで著しい殻・生殖器形態および生態の多様化が見られる種群(ナンバンマイマイ科オオベソマイマイ属等)を用いて、集団遺伝解析、生態環境調査、公園・神社の歴史調査から、人間による生息地の分断が生態的分化を引き起こした可能性を検証する。
研究期間
2021年度~2021年度
研究組織
氏名 | 所属 |
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平野 尚浩 | 東北アジア研究センター |
陶山 佳久 | 東北大学大学院農学研究科 |