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東北大学考古学研究室所蔵発掘報告書のデジタルアーカイブ構築

研究題目

東北大学考古学研究室所蔵発掘報告書のデジタルアーカイブ構築

研究内容

考古資料は、技術から社会・祭祀、地域史から人類史までの幅広い時空間スケールにおける人間活動を明らかにするための基礎データである。同時に、愛好家を含む非専門家にとっても、居住地域の歴史を最も古くまで遡ることのできる手がかりである。こうした考古資料は発掘から得られ、情報共有の主要な方法は発掘報告書である。紙媒体での報告書は保存性という利点はあるものの、資料が膨大である場合の検索性や、関連する情報へのアクセスの容易さについては、オンラインでの公開が優っている。また、近年は、発掘された考古遺物の三次元データの計測も普及しつつあるが、紙媒体では二次元情報しか提示できず、三次元データの最大の利点である、回転・拡大を通じた観察を行うことができない。報告書そのもののオンラインでの公開も進みつつあるが、海外の研究者や、非専門家も含めた幅広い主体による利活用のためには、発掘報告書と相補的な役割を果たすデジタルアーカイブの構築が有効だと考える。

本研究では、東北大学考古学研究室がこれまで刊行してきた発掘報告書をベースに、特に遺物そのものの情報を視覚的に伝えることに焦点を当てて、デジタルアーカイブを構築する。対象として、東北アジア地域との関連の強い、石刃・細石刃が出土している遺跡を選定する。三次元データが取得されていない遺跡については、代表者が所蔵する三次元スキャナを用いて三次元データ化する。発掘報告書の個々の情報をハイパーリンクにより結びつけるとともに、背景や遺跡の学術的な意義を、インフォグラフィックスとして提示する。アーカイブはすでに稼働している東北アジア研究センターの「地域研究デジタルアーカイブ」上に構築するが、一部、発展的な機能はその上に実装できない可能性がある。その場合は別途VPS上に実装する。そうすることで、(1)海外も含めた専門家に対して、発掘報告書と相補的で、研究目的で活用しやすい情報を提供すること、及び(2)非専門家がより自由に、望む情報にアクセスできる状況を作ることをめざす。

研究期間

2021年度~2022年度

研究組織

氏名所属
田村 光平東北大学学際科学フロンティア研究所/東北アジア研究センター
佐野 勝宏東北アジア研究センター
高倉 浩樹東北アジア研究センター
藤澤 敦東北大学学術資源研究公開センター
鹿又 喜隆東北大学大学院文学研究科/東北アジア研究センター兼務教員