東北大学 東北アジア研究センター

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漁業管理における生態系配慮が問われる中、日本の漁業政策が国際的な規範や原則からずれているなどの問題が新規発表論文で明らかに

海の豊かさを守りながら漁業資源を末永く利用するために、漁業が生態系全体に及ぼす影響を軽減していくことが求められています(例えば、SDGsの目標14. 海の豊かさを守ろう)。この論文では、漁業管理における生態系への配慮が、日本の国内法政策にどのように反映されてきたのかを、日本が加盟している国際条約や行動規範等における記述と比較して分析しました。その結果、日本の漁業政策には生態系配慮という点で重大な課題があることが明らかになりました。主な問題点として挙げられるのは:

1.日本では漁業生産を増加させるための漁場保全を重視してきた一方で、漁獲対象ではない生物の混獲や投棄の規制は講じられていない。

2.日本の漁業政策における生態系配慮と、国際的な規範や原則との間には齟齬が生じている。

具体例:

2020年までに沿岸および海洋の10%を保護するという、いわゆる愛知目標11を日本政府は達成したとしているが、保護区の大半は生態系保全を主目的としているわけではない。

 

これからの研究課題としては、政策実施の実態を踏まえた包括的な評価が挙げられます。

 

【書誌情報】

Okubo, A., Ishii, A. (2023). Pursuing sustainability? Ecosystem considerations in Japan’s fisheries governance. Marine Policy, 152, 105603. https://doi.org/10.1016/j.marpol.2023.105603. ISSN 0308-597X.

 

論文は以下リンクにて読むことができます(5月28日まで)。

https://authors.elsevier.com/a/1gtiD,714MqytQ