寒冷地プロジェクトにおける気候不確実性へのレジリエンス
地球規模での気候変動により,地域レベルでは豪雨などの極端気象事象・災害の頻発・激甚化が懸念される.これらの気象の不確実性にうまく対応し,社会・経済に与える影響を抑える能力である「地域社会のレジリエンス」の構築と強化が,地域の重要な課題であり,さらなる大規模な災害への備えの基礎ともなる.
本研究は,東シベリア地域において,気象などの影響を受ける建設プロジェクトを対象として,「レジリエンス」の計量化と,気候変動シナリオ下での影響分析,並びにレジリエンスを高めるためのプロジェクト管理方法の探索・提案を行うことを目的とする.
このような寒冷地での建設プロジェクトでは,建設資材の調達・輸送が冬道路の利用可能性に依存し,現場での施工可能条件を満たす期間も短いために,微小な気象の変動によってプロジェクトの工程が大きく遅延し,工期が年単位で伸びたり,工費が膨らんだりする危険性がある.すなわち気象の不確実性に対するレジリエンスが低い地域であるため,資材調達の前倒しと備蓄,建設機械や労働力調達の余裕が重要であるものの,漫然と余裕をつけるだけでは費用のみが増大して,レジリエンスの向上に繋がらない恐れが大きい.
本研究は,建設プロジェクトにおける資源や労働力の輸送・調達と施工期間の関係を数理計画モデルとして定式化し,不確実な気象シナリオの元での最適施工計画をシミュレートすることで,不確実性の増大に対する工期・工費の変動の程度を確認しレジリエンスを計量化する.さらに資材調達の前倒しと備蓄などの政策によるレジリエンスの向上の効果を確認し,プロジェクト管理方法の探索・提案を行う.
2019年度~2020年度
氏名 | 所属 |
奥村 誠 | 東北大学災害科学国際研究所/東北アジア研究センター兼務教員 |
大窪 和明 | 東北大学国際文化研究科 |
高倉 浩樹 | 東北アジア研究センター |
Artem Naberezhnyi | North-Eastern Federal University, Russia |
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